ネスぺテキスト_3章:LANとWAN_物理層の規格
物理層においては、伝送媒体のプロトコルが定められる。ケーブルの規格を確認しておく。
1.同軸ケーブル
中心に銅線を使い、周囲を絶縁体と塩化ビニルの外皮で覆ったケーブル。初期のイーサネットでは主流のケーブルで、10BASE5、10BASE2などがある。最初の10は伝送速度をBASEはベースバンド通信を、最後の列は詳細情報を表すが、数字の場合は伝送距離を表す。
ベースバンド通信:データを変調せずに通信する方式のこと。
表:10BASE5と10BASE2の比較
名称 | ケーブル | 伝送距離(m) | 通信速度(Mbps) |
10BASE5 | 同軸ケーブル(RG-11) | 500 | 10 |
10BASE2 | 同軸ケーブル(RG-58) | 185 | 10 |
2.ツイストペアケーブル
4本のより対線からなる銅線ケーブル。規格によって2本しか使わないものと、4本すべて使うものがある。現在非常によく用いられているケーブルであり、技術革新も高速進行中。高性能で取り回しが簡単かつ敷設しやすい一方で、ノイズや衝撃に弱く、同軸ケーブルと比較すると最大伝送距離が短い。
表:ツイストペアケーブルの規格
名称 | 通信速度 | ケーブルカテゴリ | 使用するより対線 | 各より対線の役割 |
10BASE-T | 10Mbps | 3 | 2 | 送信10Mbps/受信10Mbps |
100BASE-TX | 100Mbps | 5 | 2 | 送信100Mbps/受信100Mbps |
1000BASE-T | 1000Mbps | 5e | 4 | 送受信250Mbps*4 |
1000BASE-TX | 1000Mbps | 6 | 4 | 送信500Mbps*2/受信500Mbps*2 |
10GBASE-T | 10G | 6A、7 | 4 | 送受信2.50Gbps*4 |
ケーブルには下位互換性がある。そのため、異なる速度規格をもつケーブルが混在していることも多い。オートネゴシエーション機能によって通信速度を自動検出して同期できる。(手動で設定することも可能)
ツイストペアケーブルにはシールド処理されたSTPとシールド未処理のUTPがある。現状ほとんどがUTPだが、ノイズの多い環境においてはSTPを利用することでスループットが改善することがある。
3.光ファイバ
純度の高い石英ガラスを被覆して光を通すケーブルで、光通信に用いられる。伝送に光が用いられるため、電磁波の影響がなく、電磁ノイズの大きい環境下でもスループットが低下しない。また、電磁漏洩も原理的に起こりえないため、セキュリティ上の利点もある。欠点としては、衝撃に弱く取り扱いに注意が必要な点が挙げられる。
光ファイバを使用したデータ転送には、シングルモード型とマルチモード型がある。
シングルモード型
光ファイバのコア径を小さく(10μm程度)することで、光の通り道(モード)を1つにした形式。長距離伝送、高速伝送が可能であるものの、原料として石英を使うため、効果でケーブルの折り曲げに弱い。
マルチモード型
光ファイバのコア径が大きく(50μm程度)、プラスチックを原料に出来ることから安価で折り曲げに強いケーブルが作成可能。一方、モードが複数になるため通信到達に時間差が生じ、長距離・大容量伝送には不向きである。
4.リピータ
物理層でネットワークを接続する機器。IPアドレスやMACアドレスは解釈せず、電流の増幅と信号整形のみを行う。物理層規格では最大伝送距離が定められており、それ以上の距離を伝送しようとすると電流が減衰してデータが乱れる場合がある。このような場合は間にリピータを設置することで、減衰した電流の増幅と整流を行う必要がある。
リピータを用いる上で最も注意するべきことは、段数制限である。リピータをあまりに多段化させて使うと、伝送に遅延が生じてコリジョンの検知が上手くできなくなる。現代ではほとんどのネットワークでスイッチングハブが使われるようになったため、段数制限を気にする必要はなくなった。
リピータからハブへ、ハブからスイッチングハブへと置き換わっていった流れを覚えておこう。
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